どうしよう、草太の気持ちが朱里ちゃんに向いちゃったら……。
朱里ちゃんと比べて、私が選ばれる要素なんてどこにもない。
ああ、考え出したら止まらなくてネガティブになっちゃう。
あれからどのくらい経ったんだろう。
二十分以上は経ったと思う。
それなのに、草太からの連絡は一切ない。
今なにやってるんだろう。
朱里ちゃんとどんな話をしているの。
気になるのに、連絡なんてできない臆病な私。
草太から電話があったのは、さらに十分経ってからだった。
『ごめん! 今どこ?』
『学校の近くの公園だよ』
『すぐ行くから、待ってて!』
返事をする前に電話が切れて、プープーと虚しい音が響く。
草太を待ってる間、不安が大きく膨らんでもどかしかった。
「ごめん!」
「ううん、大丈夫だよ」
草太は私の隣にくると、ゆっくりとベンチに腰を下ろす。
そして、こっちに視線を向けた。
「なんか、ごめんな」
眉を下げて申し訳なさそうな顔。きっと、朱里ちゃんとのことを申し訳なく思ってるんだろう。
「ううん、そんなことないよ!」
なんでもないよというように、私は大きく首を振った。



