「…………」
「ちょっとでも気持ちが揺れ動くような状況になるのは避けたいし、なによりもやっぱり俺が嫌だから、許さない、かな」
「…………」
気持ちが揺れ動くような状況。
確かに、太陽の言うとおりかもしれない。
過去に好きだった女の子って、きっと特別な存在だと思うし、そう簡単に忘れられるわけないよね……。
「なんだよ、まさか、許したのか?」
「うっ……」
「だから今、そんなに落ち込んでんの?」
「わ、わかる?」
「ああ、バレバレ。バカだな、嫌ならはっきり言えばよかったのに」
「そ、そんなこと、言えるわけないよ」
「なに遠慮してんだよ。俺の時はガンガン言ってたくせに」
「そ、それは……」
「亜子のいいところは、遠慮なくズバッと言うところだと思う」
「なによ、今さらお膳立てしたって、なにも出ないからね?」
「そういうんじゃねーって、ま、がんばれよ。傷つけた分、おまえには幸せになってほしいって思ってんだからな、俺は」
「あはは、調子いいことばっかり言っちゃって……」
「応援してっからな!」
太陽はグリグリと私の頭を撫でて、ヒラヒラと手を振りながらこの場を去っていく。



