「な、なに言ってんの。太陽の頭の中は、そんなことしかないわけ？」
「そりゃあ、まぁ、俺も男だから。今、めっちゃ好きな子がいてさー。素朴な感じの子なんだけど、いちいちなんでも恥ずかしがってかわいいんだよ」
「なに、いきなり」
太陽がそんな話を振ってくるのは初めてだ。
「いや、なんとなく。ノロケたくなった。でも、付き合ってないから、まだなんもしてないけど」
「……ふーん」
なんとなく、太陽のそんな話は聞きたくない。
私は振り向いてもらえなかったから、余計に。
「その子の、どこがよかったの？」
「えー、さぁ、なんだろ。雰囲気？ かな。純粋な感じの」
「もし、その子と付き合ったとして、ある日突然、その子が昔好きだった人が現れたらどうする？ しかも、相手はその子に未練があるってバレバレなの」
「は？ なんだそれ。ムカつく」
「その男の人から、ふたりきりで話がしたいって言われたら、許す？」
「俺だったら、嫌だけどな」
「じゃあ、許さない？」
「いや、うーん……ムズいな。嫌だけど、許しそうな気もするし、許さない気もする」
