「勝手に来といてよく言うよ」
「ひ、ひどい。会いたかったって言ってるのに……」
次第に朱里ちゃんは涙目になった。口をへの字に結んで、大きな瞳に涙がたまっていく。
そんな仕草も、なんてかわいいんだろう。
「なに、言ってんだよ。意味わかんねーから」
「とりあえず、話がしたいの……それも、ダメなの? 草太君は、あたしのことなんて嫌いになっちゃった?」
なにを言ってるの、朱里ちゃんは。
わけがわからないよ。
これじゃあまるで、草太のことが好きみたいじゃん。
いや、ここまで来るくらいだもん。
好き……なのか?
そう、だよね。
あ、あれ……。
なんだか、すごく胸が苦しい。
「嫌いになるもなにも、いきなりすぎてビックリしてる」
「そ、そう、だよね。いきなり来ちゃったもんね。でも、話くらいは聞いてくれてもいいよね?」
朱里ちゃんは、なんというか強引だ。そしてすごく積極的。
「でも、俺……」
さすがの草太も積極的な朱里ちゃんにタジタジで、どうすればいいのかわからないんだろう。
校門に三人でいる私たちはとても目立つらしく、さっきから通り過ぎて行く人にジロジロと見られている。
面白おかしく噂話をされるのも嫌だし、とりあえずここは一旦離れたほうがよさそうだ。