その仕草は女子の私から見てもすごくかわいくて、男子なら絶対にドキドキするにちがいない。
でも、なんで、朱里ちゃんが……。
草太に会いたかったって……なに?
どういう、こと?
私よりも簡単に草太に触れる朱里ちゃんを見て、ズキンと胸が痛む。
草太もそれを振り払おうとしなくて、未だにわけがわからないと言いたげな様子。
「ねぇ、これからどっか行かない? あたし、美味しいパンケーキが食べたいな」
「いやいや、俺、これから用事あるし」
「えー、用事って?」
プクッと頬を膨らませながらスネる朱里ちゃんも、すごくかわいい。
「亜子と出かけるから」
「亜子ちゃんと?」
朱里ちゃんは絶対に私に気づいていたであろうに、今初めて私に気づいたかのように目を見開く。
「わぁ、いたんだ? 気づくのが遅れて、ごめんね?」
い、いたんだって……。
絶対気づいてたよね?
朱里ちゃんって、天然?
それとも、知っててわざと?
「亜子ちゃんと出かけるって、どこに行くの? ふたりは、付き合ってるの?」
「どうだっていいだろ、そんなこと」
「よくないよぉ、あたしも草太とデートがしたいんだもん。一時間半もかけて来たんだよ? それくらいしてくれてもいいんじゃない?」
朱里ちゃんと草太はもちろんだけど約束していたわけじゃなくて、一方的に朱里ちゃんが待ち伏せしていた。