どうやら女の子を取り囲んで声をかけているっぽい。

女の子の華奢な後ろ姿が見えてきた。

セーラー服にベージュのセーター、紺色のプリーツスカート姿の女の子。

「ごめんね、あたし、人を待ってるの」

どことなく聞き覚えのある声にハッとする。

まさか……いや、でも。

次の瞬間、女の子がゆっくりと振り返った。

「あ! 草太君!」

「え、朱里……?」

「えへへ、来ちゃった」

朱里ちゃんはかわいく笑いながら、ゆっくり私たちの元へと歩み寄ってくる。

私は信じられない思いで、ぼんやりと朱里ちゃんを見つめていた。

どうして……朱里ちゃんがここに?

なにをしにきたのかな。

人を待ってるって言ってたけど、誰を待ってたの……?

色んな疑問が胸の中にわいてきた。

どうしてそんなにニッコリしてるんだろう。

まるで草太に会えて嬉しいみたい。

「なんで、ここに?」

「会いたくなったから、思わず来ちゃった!」

「え? は? いや、意味わかんないから」

「そんなふうに、言わないでほしいな。だって、ずっと会いたかったから……」

目を潤ませながら、草太の学ランの裾に手を伸ばす朱里ちゃん。