放課後になってふたりで廊下を歩いていると、色んな人からジロジロ見られているような気がした。
特に女子からの視線がすごくて、ヒソヒソ言われているような……。
「な、なんだか照れるね」
「え、そう?」
なんて言いながら草太は平然と笑っている。こんなに恥ずかしいのは私だけ。
周りの視線や声に気づいていないのか、草太は笑顔で「どこ行く?」と私に聞いてくる。
「ど、どこでもいいよ。草太の行きたい場所で」
本当はちょっとお腹が空いたから、甘いものでも食べたいところだけど。
でも、草太は甘いものが苦手だって前に言ってたし、付き合わせるのは悪いから黙っておく。
「どこでもいい、かぁ。うーん、迷うな」
「うん、ほんと草太の行きたい場所でいいから」
「うーん、そう言われると困るな……」
草太と一緒にいられるなら、どこだっていいんだけどな、私は。
昇降口にたどり着き、ローファーに履き替えて校門に向かって歩く。
草太との距離は近すぎず遠すぎずで、人ひとり分ほど。
歩いていると、校門のほうが騒がしいことに気がついた。
「ねぇねぇ、俺らと遊びに行こうよ」
「すっごいかわいいよね」
「誰待ってんの?」
そこには数人の男子の姿。