「そんなことないよ」

自分に自信がないけど、自分磨きをがんばってみる。

その一、自分から会いたいって言わない。

その二、寂しいって言わない。

その三、ベタベタしない。

その四、メッセージや電話も自分からはしない。

その五、どんな時も笑顔でいる。

その六、ワガママは言わない。

その七、会うときは目一杯オシャレする。

その八、どんなことも笑って許す。

その九、すぐにスネない、泣かない。

その十、過度な愛情表現はしない。


これくらいやれば、十分じゃない?

だって、嫌われたくないんだもん。

一緒にいて、面倒だと思われたくないんだもん。

お互いに気持ちを伝え合ったら、永遠に幸せでいられると思っていたけど、それはきっと努力の賜物だと思うから。

「咲希、ありがとう。おかげで方向性を見失わずにすんだよ」

「私の言葉なんて、軽く聞き流してくれていいんだよ? 本田君は例外だろうし」

「ううん、アドバイスありがとう! 助かったよ」

「いや、アドバイスというか。一般論だけどね。はぁ、へんな方向にいかなきゃいいけど……」

なんて咲希がボソッとつぶやいた。