それから約一週間が経って、お昼休みの中庭に私と咲希はいた。
「なんかあったの?」
「うーん……なんかあったといえばあったし、なかったといえばなかったような……」
手作りサンドイッチを頬張りながら、頭をひねる。
そう、特になにかあったわけじゃない。
強いて言えば、あの日からなんだかへんなんだよね。
「なに? 本田君と喧嘩でもしたの?」
「あ、ううん。そんなんじゃないよ。でも、付き合うって大変だなって思って」
「えー、まぁ、そりゃあね。お互い、相手に嫌われないように努力する必要は少なからずあると思うし。思いやりは大事だよね」
「そうだよね」
「だいたい、好きな人が一生自分だけを好きでいてくれるって、奇跡に近いことだと思わない?」
咲希の言葉はどこかズッシリと胸に響いた。
草太が一生私を好きでいてくれる保証なんて、どこにもない。
ずっと好きでいてもらえるように、努力しなきゃいけないんだ。
でも、どうやって?
「人の気持ちっていつ変わるかわからないから、怖いっていうか。でもまぁ、本田君にはそんな心配ないよね」
「いや、うん、どうかな……」
わからない。
だって、自信がないんだもん。



