友達から好きな人、好きな人から彼氏に変わった時、その境界線に困るというか。

どこまで踏み込んでいいものなのか迷ってしまう。

草太のことをまだ全部知ったわけじゃないし、これから知っていきたいとも思う。

その中でゆっくり私たちのペースを探っていけばいいのかな。

草太はどう思ってるんだろう。

そもそも、付き合うってことが私の中でイマイチピンとこないというか。

太陽の時は、付き合ってても普通の友達と変わらなかったもんなぁ……。

手すら繋いだことなくて、あれ、なんだこんなもんなのかって思ったっけ。

さすがの私も、ワガママは言えても、自分から太陽に触れることはできなかった。

触れたい、触れてほしいって思っても、太陽に好かれている自信がなかったから。

──ピコン

「わっ」

駅の広場のベンチに座っていると、スマホが鳴った。

草太からだ。

『ごめん、今起きた!亜子はなにしてる?』

──ドキッ

やっぱり寝てたんだ。

『もうお昼だよ?亜子は駅のベンチでボーッとしてるよ★』

草太の住む高層マンションは駅のすぐそばで、ここからでも十分にその外観がうかがえる。