亜子の腕は細くて、身体もちっちゃくて。上から覆いかぶさるだけで折れてしまいそうだった。

ふわりと香るいい匂いに、クラクラとめまいがしそうになる。

だって冷静じゃいられなかった。

過去の男に嫉妬してる醜い自分。

「そ、草太……なんで、こんなこと」

だから、そんな目で見んなって。うるうると潤んだ、かわいい瞳。小さな唇が少しだけ開いていることに色気を感じる。

や、やばい。

ドキドキしすぎておかしくなりそう。

亜子を組み敷いていると理性なんて簡単に飛ぶんだよ。

「と、とにかく、離れて。ね?」

「慣れてるんじゃないの?」

「え?」

今度は亜子は目をパチクリとさせた。

「こういうこと、三上としてきたんじゃねーの?」

この唇でキスしたり、甘い言葉を囁いたり、もしかしたらキス以上のことだって……。

そう考えたらキリキリと胸が痛くて、張り裂けそうだった。

「も、もう、なに言ってんの……っ」

「どうしてこの状況で笑えるんだよ」

「……っ」

焦りと焦燥。俺はほぼ無意識に亜子の唇に自分の唇を押し当てていた。