だとしたら、すごく悔しい。

昨日のあれは、なんでもなかったってことか。

亜子はほっぺにチューくらいじゃ……なんとも思ってないんだよな。

今頃になって拓也の言葉が真実味を帯びてきたことを実感する。

「三上と、どこまでいったの?」

「え?」

不躾な俺の質問に、ポカンとして首をかしげる亜子。そんな姿までもがすっげーかわいくて、俺の心臓は限界を迎えそう。

「どこまで?」

「付き合ってたとき……どこまでいったのかって」

自分でもなにを聞いてるんだと思った。こんなの、俺らしくない。過去なんて気にならないと思ってたのに……。

これが惚れた弱みってやつなのかよ。

「うーんと……あ、ゲーセンとか、アイス食べに行ったり、ファミレスでご飯食べたり、カラオケに行ったりしたよ……?」

「いや、そういう意味じゃなくて……」

「え?」

どうやら俺の意図はまったく伝わっていないらしく、亜子はさらに首を傾げた。

わけがわからないと言いたげに揺れるうるうるした瞳。

柔らかそうな唇。

──ドサッ

「きゃっ」

気づくと俺は、そんな亜子を押し倒していた。