結局一睡もできないまま、朝を迎えた。
頭がガンガンして体が重いし、朝飯の時間だってのに食欲がない。腹も減ってない。亜子に合わせる顔もない。
せっかくの修学旅行だってのに、なにやってんだよ……俺は。こじらせてる場合じゃないだろ。
「わり、俺、ダルいから観光行かずに寝とくわ。先生に言っといて。あとグループの奴らにも」
「大丈夫かよ、マジで」
「あー、寝たら治るだろ」
観光よりもとにかく今は、亜子に会いたくない。
情けない話だけど、昨日はマジでやりすぎた。
絶対……嫌われた。はぁ、詰んだ……。
「ほっぺにチューで一睡もできねーとか、中学生じゃねーんだからさぁ」
「うっせー……そんなんじゃねーよ」
「はははっ、真っ赤だぞ。ま、亜子ちゃんはほっぺにチューくらいじゃなんとも思ってねーよ。それ以上のことを元彼としてるに決まってるしな」
「は? なんでおまえがそんなこと知ってんだよ」
元彼とそれ以上のことをしてるって……。
「三上って見た目からしてチャラいし、手が早そうじゃね? 亜子ちゃんもかわいいしさ。押し倒したくなるのが普通じゃね?」
「それは……おまえの場合だろ?」
そんな想像、したくもない。



