──トンッ

背中が壁にくっついた。両腕を掴まれ、壁に押しつけられる。目の前には草太の熱っぽい顔があって、ドキッとする。

「俺はあいつとはちがう。傷つけないって誓うから」

耳元でそんなに甘いセリフを囁かないで。頬に触れる草太の髪の毛からはシャンプーのいい香りがして、おかしくなりそう。

これ以上こうしていたら……ダメ。

体の奥底が熱くなって溶けそうになる。

思わず下を向いた。

「初めてなんだよ、こんなに誰かを好きになるのは」

や、めて。ダメ、だよ。

ダメだと思うのに、顔を上げた。

いつもは余裕たっぷりでサラッと恥ずかしいことを言う草太も、今ばかりは余裕がないように見える。

上から見下されているこの格好。体が密着していて、鼓動が伝わってきた。

「そんな目で……見るんじゃねーよ。マジでヤバいから」

「ヤ、ヤバいって……?」

なにが?

「はぁっ……無自覚かよ」

「え……?」

「抑えられなくなるっつってんだよ」

耳元で熱い吐息と一緒に吐き出された甘い声。

顔が近づいてきたかと思うと──。

頬に吐息がかかった。クラクラとめまいがして、倒れてしまいそう。

目を見張ったその瞬間──。

頬になにかが触れた。

色気たっぷりの鎖骨がTシャツの首元から見えて、余計におかしくなりそうだった。