そう、かなぁ?
そんなふうには見えないけどな。
咲希と話しているけど、気になるのはうしろの二人のこと。
弾むような朱里ちゃんの声と、戸惑う草太の様子が伝わってくる。
ようやくレジの順番がきて、私たちはアイスを買った。部屋に戻るまでの間に溶けそうだったので、売店の近くのイスに座って食べることに。
チョコ味のアイスはたしかに美味しかったけど、昼間のキャラメルポップコーンに比べたら甘さが足りないような気がする。
草太……朱里ちゃんと会えて嬉しそう。戸惑っているのも、相手が朱里ちゃんだから。
前に好きだったんだもんね。久しぶりに再会できて、嬉しいんだ。
「はぁ」
重いため息を吐き出す。さっさと食べて部屋に戻ろう。アイスをかきこんで食べると頭がキーンとした。
「大丈夫?」
咲希が苦笑する。
「咲希……」
「ん?」
「亜子、草太のことが……っ。めちゃくちゃ、好きみたい」
だってね、二人のことが気になって仕方ないの。どんな話をしてるのかなって、草太は朱里ちゃんに再会してどう思ったかなって。
そんなことばかりが気になる。
「ほんとはね……ずっと前から、好きだった」
「うん、気づいてたよ」
「だよね……亜子、ずっと自分の気持ちから逃げてた。太陽と別れてから、ツラくて。こんな思いをするくらいなら、もう誰も好きにならないって思ってたんだ……」