なんだか嫌な予感がする。普段ならまったくなのに、そういう時の予感って必ず当たるんだ。
たとえば席替えで一番前の席になりそうな時とか、委員会を決めるくじ引きで一番面倒な委員になりそうな時とか。
実際にそうなった時、なるんじゃないかっていう嫌な予感がした。ううん、予感というよりも確信に近かったような気がする。その時の感覚にすごく似ている。
修学旅行旅行二日目の夜、お風呂のあとにアイスが食べたくなって、咲希を誘って旅館の売店に向かった。
昨日はホテルだったけど、今日は旅館に宿泊することになっている。大きな旅館で別棟もあるので、とても広くて迷子になりそうだ。
消灯までは自由に旅館の中を動いてもいいことになっている。もちろん、男女間の部屋の行き来は禁止だけど。
「ねぇ、このアイス美味しそうじゃない?」
「あ、ほんとだ! 美味しそう。亜子もそれにするー。チョコ味が美味しそう」
「私はイチゴ味にしようかな」
売店は混み合っていて、うちの高校だけじゃなくて他校の生徒らしき人もいる。
レジに並んで順番を待った。
「なんだかずっと上の空じゃない?」
「え?」
「本田君関係でなにかあった?」
咲希に言い当てられ、ドキッとする。
明るく振る舞っていたつもりだけど、見抜かれていたらしい。