ナチュラルメイクをして、チークかな。ほんのりピンク色に染まる頬。白い肌にピンクがよく似合っていて、それだけでかわいい。
長い前髪をサイドに流して、花柄のピンで留めている。ほのかにフローラル系の香りが漂ってきて、女子力の高さを実感した。
高木君のうそつき。
朱里ちゃんが私に似てる?
全然似てないよ。
私なんかよりも、朱里ちゃんのほうが断然かわいい。そして、すごく女の子らしい。
「朱里、先に行ってるよ」
「あ、ごめん。すぐ追いかけるから」
朱里ちゃんが友達にそう返事をするのを、私は呆然と聞いていた。というよりも、そうするしかなかった。
「元気だった?」
「ああ、まぁ、それなりに」
「あは、それなりって。それにしても草太君、すごく身長が伸びたよね! 最初見た時、誰だかわからなかったよ。カッコよくなったね」
目を輝かせながら話す朱里ちゃんは、とてもかわいい。
それに──。
草太君って……。
朱里ちゃんは、そう呼んでるんだ?
でも、私のときは君付けは嫌だって断られた。
それって……朱里ちゃんがそう呼んでいたから?
だから、嫌だったの?
目の前が真っ暗になっていく感覚がする。それと同時に、湧き上がる想い。
もしかすると、草太は……。
「朱里は変わってないな」
「えー、そうかな? これでも、少しは身長が伸びたんだけど」
聞きたくない。
見たくない。
二人が仲良くしているところなんて。
「いや、相変わらず色白で細すぎだろ」
「そんなことないよーだ」
頬を膨らませる朱里ちゃんを見て、フッとゆるんだ草太の口元。いつも以上に優しく見えるのは、気のせいかな。
そこで会話が途切れると、朱里ちゃんはようやく私に気づいたようだ。目が合い、小さく微笑まれた。
「ごめんなさい、二人の邪魔をしちゃって。つい、懐かしくて夢中になっちゃった」
「い、いえ、大丈夫です」
私も笑顔を返す。でもうまく笑えなかった。だけど、必死に笑って見せた。
「それにしても、かわいい子だね。草太君が幸せそうで、よかった」
そう言いながら、なぜか眉を下げてさみしそうに笑う朱里ちゃん。
「俺らはそんなんじゃない」
「え?」
「そんなんじゃないから」
──ズキン
強く言い直した草太の言葉に傷つく私がいた。