騒ぎっぱなしの鼓動を落ち着かせるように、大きく息を吐き出す。
「おーい、おまえら、早くこいよ!」
すでに遠くにいる二人に急かされ、かけ足で近づく。待ち時間は三十分ほどで、ミミオンパークのアトラクションの順番がやってきた。
3D眼鏡をかけて円型の四人乗りのスライダーに乗り、バナナ型のおもちゃの銃で、四方の大きな画面に浮かび上がるミミオンを撃ってポイントを稼ぐというもの。二人一組なので、私は自然と草太の隣になった。
「よーし、勝ったほうが負けたほうに昼飯を奢るってことで!」
「よっしゃ、受けて立つ」
高木君の挑戦にノリノリの草太。
高木君や咲希とは背中合わせだから、顔は見えない。
「咲希ちゃん、勝負の世界だから今日だけは奢られるのが嫌とか言うのはなしな」
「私だって、それぐらいの空気は読めるよ」
「手加減しないからね」
ゲームスタート。最新の3D映像にあふれんばかりのミミオンがたくさん出てきて、私たちはキャーキャー言いながら楽しんだ。
「あー! そっちだってばー!」
「うおい、そこかよ!」
「あはは、ミミオンかわいい」
勝負なんてそっちのけ。くるくると回るスライダーと、次々と変わる映像に翻弄されっぱなし。
そんな中ふと隣を見ると、真剣な様子で銃をかまえる草太の姿。



