「おい、なにへんなこと言ってんだよ」
「いいだろ。かわいかったよな、朱里(あかり)ちゃん。身長もちょうど、亜子ちゃんくらいでさ。そういえば、顔も性格もなんとなく似てるよな。あと、声も! 最初、亜子ちゃんの声聞いた時びびったもん」
「マジでいい加減にしろよ。余計なことばっか言うなっつの」
ちょっとムッとしている本田君。
訂正しないということは、多分きっと、本当のことなんだろう。
過去に好きな人がいたってまったく不思議じゃない。それなのに、なんでこんなにショックを受けてるんだろう。
「ごめん、柳内さん。拓也の奴が、へんなこと言って」
否定は、しないんだ……?
「あ……ううん。それにしても、かわいい子だよね」
ああ、私はなにを言ってるの。これ以上聞きたくなんかないのに、口が勝手に動いてしまう。
「なんだかすごくラブラブだし。お似合いだね」
ほんと……バカ。笑顔まで浮かべて強がってるなんて。
「朱里とはそんなんじゃない。ラブラブとか、言われたくないんだけど」
真顔でそう言われて、胸がギュッと痛くなった。
名前で呼んでたんだ?
ふーん。
私には……関係ない。
関係ないよ。
それなのに──。
なにこれ……すごく苦しいよ。