元気がない?

そうなのかな?

「南野さんは好きな人いる?」

「なにいきなり。恋なんかしてる暇があったら、家で小説読んでるほうがよっぽどいいよ」

「美人なのにもったいない! 亜子、すごく好きだった人がいたんだ。でも今はなんとも思わないの。ツラくてたまらなかったのに、時間の流れってすごいよね」

時間の流れ。きっとそれだけじゃないと思う。なぜか本田君の顔が頭に浮かんだ。

「今は本田君を怒らせたかもしれないっていうほうが気になって仕方ないの。へん、だよね……?」

どうしてこんなにも本田君のことが気になるんだろう。目で追ってしまうんだろう。

ドキドキ……するんだろう。苦しいんだろう。

「全然へんじゃないよ。ようするに、本田君が前の人を超えたんだよ。それだけ、柳内さんの中で大きな存在になりつつあるってことでしょ」

バカにしたりからかったりせずに真剣に返してくれる南野さん。

本田君が太陽を超えた?

天秤にかけるわけじゃないけど、自分ではそうは思わないからそう言われてビックリした。

「柳内さんもだけど、本田君もすごくわかりやすいよね。あれだけあからさまだから、きっとアプローチもすごいんでしょ? それは好きになっちゃうよ」

「な、なに言ってんの……!」

好きとか、そんなんじゃない……。

そんなんじゃ……。