どう言おうかな。ちゃんと言えるかな。なにから言おう。許して……くれるかな。許してくれなかったらどうしよう。

「柳内さん!」

──ドキン

き、きた。

どうしよう、緊張するよ。

でも、言うべきことはちゃんと言わなきゃ。

弱さを認めて強くなりたいから。

本田君はユニフォーム姿のまま私の目の前まで走ってきた。息を切らしながら、顔に流れる汗を腕で拭っている。

「はぁはぁ、ごめん。遅くなった」

太陽の下、本田君のユニフォーム姿がまぶしい。

「ううん!」

ブンブンと首を横に振る。

素直になるって決めたのに、いざとなると緊張してなにから話せばいいのやら。

向かい合っていることが気まずい。早くなにか言わなきゃ。なにか。

「あ、あのね」

「あの、さ」

「「昨日は、ごめん!」」

一息で言って頭を下げた。すると、同じタイミングで頭を下げた本田君の頭と私の頭がすごい勢いでぶつかった。

「いてっ」

「いたっ」

ゴンッという音が聞こえて、すぐにジンジンと痛みが襲ってくる。声を発したタイミングまでもが同じで、痛いのになぜか笑けてきた。

「ぷっ」

「あはは」

私と同じように本田君も頭を押さえながら笑った。