「ちーがーうーかーらー!」

「じゃあなんでコソコソ見てんの?」

「そ、それは、ちょっと謝りたいことがあって……でも部活中だし、教室だと落ち着かないしで、どうしたもんかと……」

思っていたところだったんだよ。

「あー、それで昨日草太の奴はテンションが低かったのか」

「え? そうなの?」

「あいつ、帰り際心ここにあらずって感じだったよ。亜子ちゃんが原因かー」

「……っ」

そこまで傷つけてしまっていたなんて。罪悪感がこみ上げて胸がヒリヒリする。ああ、昨日の私のバカ。

「中庭で待ってて。俺が呼び出してやるから」

「え?」

「俺は草太の味方でもあり、亜子ちゃんの味方でもある。すなわち、いい奴だから! 協力するよ」

高木君なりに本田君を心配しているんだろう。

「自分で自分をいい奴って言うのはどうなの? でも、ありがとう」

高木君はさり気なく優しい。それをおおっぴらにするけど恩着せがましくないのは、気を遣ってくれているからなのかもしれない。

早速私は中庭で本田君を待つことにした。

朝練が何時までなのかはわからないけど、現在の時刻は八時を少し過ぎたところ。きっと、もうすぐ終わるはず。