「俺、おまえのことを最後まで好きになれなかった」
肩を震わせて泣く私に向かって、投げかけられた言葉。
胸が張り裂けそうなくらい痛くて、なにか言いたいのに頭の中は真っ白でなにも考えられない。
最後まで好きになれなかった……?
ねぇ、それって、どういうこと……?
私のこと……最初から好きじゃなかったの?
パクパクと口を動かしてみるけれど、空気が出るだけで声が出てこない。
こんなに胸が苦しいのは、生まれて初めてだ。それなのに目の前の彼は悪びれる様子もなく、平然と言葉を続ける。
「もう、これ以上一緒にいるのは無理だから」
「……んでっ」
なんで……?
いやだ、いやだよ。
「そんなこと……言わないでっ」
許すから、全部、許すから。私のこと、好きじゃなくてもいい。それでも、一緒にいたい。離れるなんて考えられない。
だって……好きだから。
「これ以上はもう、俺が限界。亜子(あこ)と一緒にいると、疲れるんだよ」
「……っ」
胸が苦しくて、目頭が一気に熱くなった。あふれてくる涙を我慢できない。
一緒にいると疲れる……。
知らなかった、私、そこまで嫌われていたんだ。