「もう結婚しないなら、いい加減出て来なさい」

毎日、母親から言われる言葉。
流石に私も実家の居心地の悪さに頭を悩ます。

「もう40歳なんだから、お見合いの話も来なくなったわ。自分できちんと相手見つけなさい」
母親は、父親のだらしない性分を譲り受けた私に苛立ちを隠せない。


「……で、出てくから。あの、その代わり、お金貸して下さい」


「何だって?」
母親の顔が恐ろしい悪魔へと見事に変化を遂げた。

リビングに響き渡る一言。


「…な、何でもない。出ていきます」

私にはその選択肢しかもう無かった。