『うわあああああああああ…。』

因みにこれは私が彼氏に振られた時の泣き声。
先程、一ヶ月付き合った彼氏に別れを切り出された。
最後までいい人でいたくて大人的な対応…ではなく、強がった対応をした。

電話を切った瞬間に泣き喚いた私の名前は『佐藤 小夜』。
歳は、先月念願の20歳を迎えました‼︎
とか、自己紹介している暇もなく…

すっっごい悲しい。涙が止まらない。
何が「お前以外に好きな子ができた。ごめん。別れてくれ」だ‼︎
腹がたつ…。でも、悲しい。苦しい。
なんだこのなんていうか…グチャグチャな感情は…。

素直に『うん。分かった。付き合わせてごめんね。今までありがとう。さよなら』だ!
こんな言葉をはいてしまった私にも責任はあるだろうか…。

あーーーーー!思い出しただけでイラつく。ムカツク。でも、何だかんだで大好きだった。
彼…。あ、元カレ…か。元カレは私と同じ歳。
でも、すっごくしっかりしてて頼り甲斐があって、優しい人だった。
周りにはイケメンって言われてて、モテていた彼は、私の必死のアプローチを受けてくれたのだ。
本当に付き合いたては幸せだった。
のに…。

『何が…お前以外に好きな子が出来たよーーーーーだ‼︎何が愛してる…だ』

部屋にいた私は昼間っから、御近所さんに迷惑がかかるんじゃないかって言うくらいに叫んだ。
正直に言って、しんどい。泣いて、喚いて、怒って、しても彼は…私の方なんて見向きもしないのに。
自分でも分かってた。振られることなんて。
最初の2週間は頻繁に連絡を取り合っていた。
突然、1週間前から連絡が少しになった。
メールでさえもまともに返ってこないし、愛してるっていう言葉すらなかった。

『わかっていた事だったのに、いざ言われると…辛いなぁ…』

自分のか細い声が、部屋に響き渡る。
まあ、彼が他の子を好きになったのは、私の性格の問題かもしれない。
私の性格は、ざっというと…。

変わってる。
不真面目。
考えが子供。
馬鹿。
明るい。
社交的。
友達が多い。
ゲーム好き。
本が好き。
勉強嫌い。
自分の考えはズバっといってしまう。
素直じゃない。

と、まあ、こんな難クセがある私である。
そりゃあ…嫌われちゃうよね…。
この話を誰でもいいから聞いて欲しいと思った。
でも、友達には相談したくなかった。
茶化されるのが目に見えてたからだ。
で、開いたのが

『ランダム通話アプリ☆☆』

とかいう、アプリ。
一週間前にリリースされた人気急上昇中のアプリである。
どんなアプリかと言うと…名前の通りである。
『暇です。通話募集中です』とか適当に募集欄に書き込んで、待ってたら電話がかかってくるのだ。
自分からも電話をかけることもできるのだが、私は…
『暇な方、相談に乗ってください』と書き込んだ。

書き込んで数秒で着信音が部屋に鳴り響く。

『♪♪♪〜♪♪〜』

『プッ』

電話と電話を繋ぐ音がした。
あ、どんな人だろ。
自分から声かけなきゃ!

『もしもし!はじめまして…こんにちわ』

こんな挨拶でいいのかな?とか思いつつも定期文を言ってしまった。
つながったのだろうか… ?

「あ、聴こえる?こんにちわ。はじめまして、龍って言うんだけど……一緒にオ◯ニーしない?」

『ばっっっっっか、じゃないの⁈するわけないじゃん‼︎‼︎』

と、まあ…大絶叫でして、一発目から最悪…
まあ、ランダム通話ではたまに変な人がいるとは聞いてはいた。
でも、こんなに早く鉢合わせることになるとは思っても見なかった。
気を取直して……もう一度‼︎‼︎

『♪♪♪〜♪♪〜』

『プツ』


「あ、もしもし?こんにちは。聞こえてる?」

『はい‼︎聞こえます。こんばんわです!はじめまして…』

なんかすっごいイケボの人きた。
声若干裏返るほどのイケボだ。
自分の中でだけど、今まで通話とかあった中でイケボの人はいたけども…。
なんていうか…これは、神!尊い‼︎ってなる声。
すっごく落ち着く少し低めの声で、標準語で丁寧な方っという感じ。

なんだこの…THE大人の男性って感じの人。
25歳後半の人かな?身長も高そう。まあ、声だけで推測してもキリないのだが…

「んーーーまあ、何からはなそうか」

『えっと、凄いあなたの声かっこいいですね‼︎凄く、好きです!』

あ、いきなり好きとか引かれちゃうかな…素直に言いすぎた…、
でも、本当にこの人の声…好き。
ほんとに声だけでしかまだ、いい人かなんて判断できないけど…
いい人な気がする…。
あと、声フェチの私的には、自分好みすぎて困っているところである。

「んーかっこよくはないよw。俺は、ゲスボだから。ねえ、とりあえず、自己紹介しあおうか?」

『世の中のゲスボに謝ってください!』