そう思って、
その男の子の後ろまで走った。


後ろ姿だけしか見えないけど、
何故か、私は胸がキューって
締め付けられた気がした。


けど、その理由は
すぐに分かることになった。


私達の後ろから
チリンチリンとベルを鳴らしながら
ものすごいスピードで駆け抜ける
自転車が現れ、その音に反応した男の子が
後ろを振り返って私と目が合った。



………嘘。


一瞬夢かと思って
頬をつねってみたけど、
ただ痛いだけで今が現実なんだと
理解した。


その瞬間、
既に前を向いて歩きだしている
男の子に向かって走り出し、
私は心の奥にしまい込んでいた
名前を口にして腕を掴んだ。


「海人君……っ!」