俺は、迷うことなく
菜々の元へ走った。


俺は、人をかき分けて
菜々の前に立った。


「…へ?」


まぬけな顔をしている菜々の手を握った。


「菜々、俺と一緒に来て。」


菜々の返事を聞く前に
ゴールへ走り出そうとした時、


「ちょーっと待った。」


なんとも緩い声が聞こえた。


「俺のお題も”好きな人”なんだよね。」


手に持った紙をヒラヒラと振るのは
俺でも知ってる…。


3年の風間翔也(カザマ ショウヤ)。


この学校で一番人気と言われている奴。
まさか…


「俺、入学した時から
菜々ちゃんに一目ぼれしてたんだよね。
俺と来てくれない?」


胸が…ざわついた。