「くっそーー!
すっげー微妙なんだけど!」


腕で目元を隠し、
泣きまねをしながら帰って来た大河。
そんな大河の姿に
笑いが起きていた。





「続いて、借り物競争に
参加される方はお集まりください。」


遠くでそんなアナウンスが聞こえた。


「あ!海人君呼ばれてるよ!
頑張ってね!!
私、この為に色々持ってきたから
必要な物あれば言ってね!!」


そう言って菜々の小さい体には
似合わない大きなリュックから
めがねやティッシュにハンカチ。
終いにはなぜかカツラまで飛び出してきた。


普通の人はこれを持ってくる考えはないだろう。
てか、そもそもどこで買ったんだ?
だけど、菜々は真面目にカツラを持ってきた。
そして俺に向かって
『ほら!!』と言わんばかりの
輝いた顔で見せてきている。