けど、そんな海人が変わってしまった。


親の離婚がきっかけで。


離婚直後は今までの海人が嘘のように
全く笑わなくなった。


俺たちの言葉も
耳に入らず、寄せ付けないオーラを
身に纏っていた。


でも、俺たちは知ってたんだ。
そんな状況の海人でも、
唯一表情が柔らかくなる時がある事を。


…それは、香水のような液が入った
小さいビンを眺めている時。


それは、海人にとって
特別な物だって分かった。


それが何か尋ねた時、


『秘密』


そう言いながらも
とても優しい表情を浮かべた。


それからだ。
きっかけはそのビンの話から。
海人は俺たちとは普通に
話してくれるようになった。