初恋レモン

その戸惑った言い方に
何処か目的がある訳じゃ
ないのだと思った。
だから、


「…触れ、たいです。海人君に…。」


思い切って言ってみることにしたんだ。


見上げれば海人君は
とっても驚いた顔をしていた。
そうだよね、いきなりこんな事言われたら。
でも、すぐに真剣な目をして言葉を発した。


「…菜々、今のどういう意味?
俺、都合いいように解釈するよ?」


海人君の目を見て
私はゆっくり首を縦に振った。


「…菜々が煽ったんだからね。」


海人君に引っ張られる形で
リビングを出て
私の部屋へ入った。


バタンとドアの閉まる音。
それがやけに耳に響いた。


目の前には両手で私の頬を包んで
少し心配そうな表情の海人君。