「と、とりあえずご飯作るね!」


私はこの空気から逃げるように
キッチンへと向かった。


冷蔵庫の中身を見て
何が作れるか考える。


でも、今からしばらく
海人君と2人の生活になるって事が
頭を過って夕飯のメニューどころじゃなかった。


「菜々?」


冷蔵庫を開けっぱなしで固まる
私に気付いた海人君が
キッチンへやってきた。


名前を呼ばれるだけで
ピンと背筋が伸びてしまう。


だけど平常心平常心…。


「な、なに作ろうか考えてて!
海人君何食べたい?」


普通に話せてるかな…?


「う~ん、肉じゃがとか?」


案外いつもと変わらない海人君に
私も上手く誤魔化せてるんだと思ったら
なんだか大丈夫になってきた。