けど、5年も経って
今さら無理だろうなって
諦めていた時だった、
突然菜々が俺の前に現われたのは。


一瞬で分かった。


髪は長くなっていて、
前髪も止めてないし、
昔よりも可愛くなってたけど、
間違いなく菜々だった。


だけど、長い間女と関係を絶っていた俺は
接し方がわからなくて
咄嗟に人違いだと嘘をついた。


菜々が俺を覚えてくれていて
すごく嬉しかったのに。


菜々を傷つけた。


その罪悪感でいっぱいになったけど、
放課後、あの時と変わらない菜々を見て
思わず笑みが零れた。
真っ直ぐで素直な所とか、
照れたように笑った顔。


今、菜々を好きかと聞かれたら
正直何とも言えない。


この5年間で菜々への想いは
薄れたことは確かだから。
だけど、再会できて胸が高鳴ったのもまた、
事実だった。


海人Side　END