初恋レモン

「食いしん坊菜々ちゃん。」


そう言いながら
指に残ったわたあめを
ペロッと舐める海人君の姿は
色気がありすぎて
直視出来なかった。


それに、私もさっき舐めちゃったし…。


なのに海人君は
そんな事気にする様子もなく
その場を立った。


「ごめん、やっぱ手洗ってくる。
わたあめ取れなかった。
ちょっと待ってて!
食べちゃっていいからね。」


水道へ向かう海人君の
後ろ姿を見つめて、
1人になれて心底ほっとした。


だ、だってあのまま2人だったら
私は心臓が持たないもん…。


気を紛らわせるように、
私はもう一度
残っているわたあめを食べ始めた。