包まれていた温もりがなくなって
視界が開けた時
やっとそこで気付いた。


…みんないた。
お客さんも含めて。


慌てて周りを見回すと
海人君に告白した子と目が合った。


その子は口をキュッと結んで
涙を零さないように
我慢しているように見えた。


そして声を掛ける隙もないまま
走り去って行った。
その子を追いかけるように
出て行った他の4人の背中を見送っていると
また、大好きな香りと
温もりに包まれた。


「菜々ちゃん意外と大胆だね。」


こういう時の海人君の声は
心臓に悪い。
みんなが見てるって事を
わかった上でやってる。


顔を見られたくない一心で
すっぽり海人君の腕の中に収まっていると
何故か歓声が聞こえた。