俺は裏の世界の男優だ。

なんでこんなことになったかというと、ただ金が必要だった。
そう。

たったそれだけ。

普通の20過ぎの男、まぁそれなりに女性経験はある。

最初は小遣い程度にと思ってた。

だが、現場はそんなに甘くはなかった。

カメラが回り、監督やらスタッフやらがズラリと、女と絡む俺を見ている。

今まで誰かに行為を見られたことなどない。

当然だろう。

本来なら愛し合う二人が行う行為なのだから。

変な緊張が俺を包み込む。

こんなことくらいに負けてはいられない。

そう思った俺は目の前の女を必死に貪った。

そこには本来あるはずの快楽などない。


ただ金のために。

撮影が終わり監督やスタッフに呼ばれた。

そして目的のものを貰った。

中を開けて見ればたった一枚の紙キレ。

それですら俺にとってみれば宝物。

俺は、生きるためだけに愛なんてものを棄てた。

今日も俺は見ず知らずの女を抱き続ける。