ねぇ、覚えてる?

なんて言葉はもう言えない。



君はきっと忘れてる。



私と出会った時のことも

私と一緒に見た景色も

二人で行った夜の丘も


全て忘れてしまったんだ。



勝手にそう思うのは傲慢だろ?



誰かの声が聞こえた。




うるさいな



知ってるよ。




だけど



もう、私の知ってる君はいない



この世のどこにもいないんだ。



誰より私を心配してくれて



誰より私を優先してくれた君。



きっともう二度と会えない君。



あの人がいいんでしょ?



あの人が笑ったとき、君は笑う




あの人が泣いたとき、君は苦しそう




私より大事?




きっと言ったら終わってしまう。



隣にも居れなくなる。




だから




我慢するの。





ここのままでいいって。




どこにも行かないで




の言葉も





言えずに





雨になって溜まっていく。