スマイルウォーター

22話
「大丈夫ですか?」
成香は実奈に気付き車椅子を持ち上げて戻した。
「ありがとうございます。あのう手川先生今日いますか?」
「手川先生は今、手術中です。もしかして手川先生の知り合いですか?」
「はいそうです。繋の恋人です」
それを聞いた成香は複雑な心情になった。
「……ところで今日は何の要件で来たのですか?」
成香は混乱し思わず話題を変えた。
「風邪を引いてしまって」
「そうですか。それなら待合室まで案内します」
成香は実奈の車椅子を押していく。
しかし成香は複雑な心境だった。
「手川先生っていつもどんな感じですか?」
何も察していない実奈は笑顔で聞いた。
「クールだけどでもドクターとしての信念に熱い人です。それに毎日、患者の事を考えていて良い先生です」
「そうですか。繋らしい」実奈は笑顔になった。
しかし成香はやはり複雑な心境だった。
「手川先生が言っていました。内の病院には優しい看護師がいると」
成香は耳を傾ける。
「いつも給食の献立のように毎日違う花を取り替えて患者の人達の事を気に掛ける優しい人がいると」
成香は気付いた。
――毎日花を取り替える……それって私の事かしら…
「手川先生はその看護師さんに感謝していると言っていました。でも1つ心配している事があると言っていました」
成香は注目する。
「その看護婦さんが悪いようにならないか」
成香は気付いた。
繋は自分の事を気にかけていて心配してくれていると。
それなのに自分は感情的になって実奈の事を差別してばかりで自分の事しか考えていなかった。
成香はそんな自分を責めた。
そして待合室に着いた。
「じゃあ私はここで」
「ありがとうございました」
成香は去っていった。
成香は実奈に対して少し嫌な感じが消えていた。
そして実奈を受け入れていこうと思った。
実奈が待っているとそこに手術を終えた繋がやって来た。
繋は思わず動揺した。
「実奈、来ていたのか」繋は実奈が怖くなっていた。
「うん。風邪引いちゃって」
「この前も引いていたじゃないか」
「うん。私、風邪に弱いみたい」実奈はなぜが笑った。
「そういえばさっき優しい看護師さんに会ったわ。たぶん繋は言っていた人だと思うけど」
「そうか」繋は成香だと気付いた。
「車椅子が挟まったところを助けてくれたの。それで待合室まで案内してくれた」
繋は成香の意外な行動に驚いた。
そして繋は自分の考えの違和感に気付いた。
それを遠くから導と一弥が見ていた。