スマイルウォーター

19話
「手川先生ですか?」
「そうですか……」
「照日実奈の父です」
繋は驚いた。
亮太は思った。
思っていたよりも真面目そうな青年であると。
そして見る限り軽いノリで実奈を支えるような青年じゃないと感じた。
しかし亮太は言った。
「……こんな事頼むのは気が引けますか娘と別れてもらえませんか?」
繋は少し予想していたもののいざそう言われると心が痛くなった。
「………それは出来ません」繋は間を取って答えた。
「手川先生の事は聞いています。世界が認める天才ドクターだと。でもだからこそ手川先生に迷惑をかけたくないんです」
「私の事は大丈夫です」
「手川先生が大丈夫でも実奈の事が心配なんです。私が嫌なのは周りの目です」
繋は注目する。
「何でこんな天才ドクターなのに交際相手が車椅子の人なんだろうとか、そういう世間の目が私は嫌なんです」
繋は自分の甘さに気付いた。
実奈の事を考えていると思っていたがどこが自分の事を優先に考えている自分がいて。
繋はそばに寄る。
「確かにそうかもしれません。でも私は障害があるから付き合ってはいけないとかそんな差別はしたくありません」
亮太は顔を上げた。
「それに世間の目とかそういうのはお父さんの考えじゃないですか」
「……」
「差別をする人はいます。バリアーフリーのないところもあります。でも差別せず助けてくれた人もいたんじゃないですか。私はドクターです。どんな患者も差別しない。同時に健常者も障害者も関係なく私は付き合っていきます。それに実奈さんに出来ない事があれば私が支えていきます。私はこんな事ばかり言っていますがでも綺麗事を並べれば良いものではないと私は信じています」
亮太は考える。
すると成香が走ってやって来た。
「手川先生、大変です。事故で重傷の患者が搬送されてきました。手術をお願いします」
「分かった。容態の方はどうだ」
繋はそう聞きながら走り出した。
亮太も興味を持って繋の後をついて行く。
そして部屋に行くと導と一弥がいた。
「トラックによる接触事故だ。吹き飛ばされたときに近くの塀に体を打ち付けて負傷した内臓損傷で危険な状態だ」
「分かった」
繋は思わず実奈の事を思い出したがしかし忘れる事にした。
「今回の手術は普通のドクターにとっては成功率の低い難しい手術だ」導も緊張していた。
「だが絶対に成功させる」
繋は服を着替えそして手術室に入った。
そこには体中傷だらけの患者がいた。
「手術を始める」