スマイルウォーター

10話
夕方、繋が帰ろうとした。
「繋」
振り返ると成香がいた。
「どうした?」
「……何で障害者の人と付き合おうと思ったの?」
繋は思わず戸惑う。
「……最初は何とも思わなかったがでも一緒にいると楽しいという事に気付いた」繋は適当に嘘を言った。
「……でも彼女は障害者だよ」
「障害があったって人間は人間だ」
「…でも」
「お前は医療で働く者だろ? だったら患者の心の痛みも障害者の苦しみも分かるんじゃないのか?」
成香は何も言えなかった。
繋は帰った。
成香は納得がいかなかった。
繋の事が好きだがそんな繋に恋人がいてしかもそれが健常者ではないため成香は嫌だった。
成香は自分でも気付かないうちに実奈を差別していた。
夜、繋がデパートの入り口前で待っていると実奈がやって来た。
実奈はいつも通り車椅子に乗っていた。
繋は後ろに付き車椅子を押す。
「ありがとう、繋」実奈は笑みを浮かべた。
しばらく歩いていると目の前に階段が現れた。
しかしバリアーフリーの坂道はなかった。
繋は周りを見ると何人もの人が歩いていたがみんな繋が困っている事を感じていながら見て見ぬふりをして素通りしていった。
繋は心が痛くなった。
「手伝いましょうか?」
振り返ると不良4人が声をかけてきた。
「良いんですか?」繋は驚いた。
「いいですよ。大変そうですし」
不良達は実奈の車椅子を持ち上げ階段を上がっていく。
繋は不良達の意外な行動に驚いた。
そして無事に階段を上がる事が出来た。
「ありがとう」実奈はお礼を言った。
「別にいいよ」
「そうだよ。車椅子じゃ登れないんだし」
そして不良達は去っていった。
繋は思った。
人は見かけによらないと。
そして繋と実奈はデパートの中に入る。
「ところで何を買うの?」
「グラスを買う。そろそろ新しいものも欲しくなってな」
2人はグラス売り場に行く。
繋は何を買うか探している中、実奈は待っているだけだった。
「いるかのグラスはないか…」
「グラスなら何でも良いんじゃない?」
「子供達が喜んでもらえるようなものが良い。特に動物は人気あるからな」
実奈は思った。
繋はクールだけどでも子供達の事を考えていて優しいと。
そしてグラスを決め会計を済ませた繋と実奈は外に出た。
「繋、ごめんね。私が障害者だから行ける場所が制限されて」
「別に大した問題じゃない」
「いつか新しい治療法が見つかって歩けるようになったりするかな?」