恋のキューピッドは怪獣でした!

「なんだい、ぼーっとして……」

「え?あ……いえ、別に……」

「ところで、あんた…今までどんな仕事してたんだい?
家政婦なんてしたことないだろ?」

「え?はい、まぁ、だいたいは事務職ですね。
家政婦はしたことありません。」

「そんなんで、良くこんな仕事を引き受けたね。
私はもうこの道30年越えてるんだよ。」

そっか…言われてみれば確かにそうだね。
普段から自炊してるから、家事なら出来るって思って、軽く考えて…
そもそもはお給料に目が眩んだんだよな。
考えてみれば、たいして何も出来ないくせに、私もかなり厚かましいよね。



(でも、史郎さんは文句ひとつ言わなかった…)



そんなことを思ったら、なんだか申し訳なく思えて来た。
仕事ぶりだって、一か月も見てたらわかるはずだし…よくクビにならなかったもんだね。
確かに、それなりに真面目にはやって来たつもりだけど、真面目にやるのと、うまく出来てるかどうかは別問題だもんね。
家事のベテランの手島さんと比べたら、私のやることなんて絶対にレベルが低いはずだけど、それに対して何も言わないのは、どうしてなんだろう?
高い給料を払ってるんだから、不満があれば言っても良いのに。