恋のキューピッドは怪獣でした！

「こんなお金持ちに生まれて、何の苦労も知らずに育って来たんだろうから、そりゃあまぁまともな人間性を持ってなくても不思議はないさ。
金が有り余ってるから、なんでも思い通りになるし、人を人とも思ってないところがあるね。」

「え？」



そうだろうか？
史郎さんって、そんなに冷たい人間かな？
確かに、なんていうか、何に対しても…あ、レギラ以外ね。
何に対しても執着がないって感じるところはあるにはある。



例えば、料理だってそうだ。
今まで手島さんの料理を食べてたんだから、私の料理は美味しくないって思ったはずだけど、史郎さんは料理について何も言ったことはない。
掃除についてもそうだし、何に対しても意見を言わない。



そりゃあね、細かいことにいろいろ言われるのはいやだけど、気になることがあれば言ってくれても良いのに…



でも、それって、史郎さんが冷たい人間だってことにはならないよね。
レギラのイベントの時も、すごく楽しそうな顔してたし、私にレギラのしっぽのストラップも買ってくれた。
それに、レギラ部屋も見せてくれたし…



（あ……）



でも、考えてみれば、史郎さんって自分に関することをほとんど話さないね。
手島さんが来るまでは、割と話もしたけど…
それはレギラのことだったり、ワイドショーの話だったり、お天気のことだったりで…
自分のことを話したことはほぼないし、私のことを訊くこともない。



そっか…それが手島さんの言おうとしてるところなのかな？
他人に関心がないっていうか、人を全く信頼してないっていうか…
そういうところが冷たいって感じられるのかな？
でも、人を人とも思っていないっていうのはやっぱり違うように思うんだけど…