恋のキューピッドは怪獣でした!

「私がここをやめたら、好きにして下さい。
でも、私はそういうの嫌だから、私がいる間は私のしたいようにさせていただきます。」

「頑固者!」

なんとでも言って。
なんと言われても、私はそんなことしないんだから。
私は何も言わず、カレー作りを続けた。



「それはそうと、あんた、なんでここに来ることになったの?」

「それは、ちょっとした事情で…」

「どんな事情なのよ。」

話すのは面倒だけど…
話さないと、ますます手島さんとの関係がぎくしゃくするかなと思って、私はあの日のことを簡単に話した。



「……それじゃあ、壊した怪獣の弁償のためにここに来たってこと?」

「まぁ、そういうことになりますね。」

「本当になんだろうね。
良い大人が怪獣だなんて…
知ってるかい?
ご主人の部屋には鍵がかかってるだろう?
あの部屋には、怪獣が山みたいにあるらしいよ。
気味の悪い話だね。」

「そ、そんなことないと思います。
大人になっても好きなものくらいあっても良いと思いますし、フィギュアのコレクションを趣味にしてる人はけっこういますよ。
それに、怪獣は気味が悪いもんじゃないですよ。」

「なに?まさか、あんたも怪獣が好きなの?」

「え?……好きって程ではないですが…嫌いではないです。」

そうだよ、私は怪獣が嫌いではないんだ。
それに、史郎さんのことをそんな風に言われたら、やっぱりなんか腹が立った。
怪獣マニアだって、そのことで史郎さんは誰かに迷惑をかけてるわけでもなんでもないし。
手島さんにどうこう言われる筋合いはないよ。