恋のキューピッドは怪獣でした!

顔を洗って、服を着替え、お屋敷の雨戸を開けて回る。



って、こんな早くからゴトゴトやってたら、史郎さんの安眠妨害になるんじゃないだろうか?
そう思って、極力音を立てないように気をつけて開けた。
その間、眠くて込みあがって来るあくびを何度もかみ殺す。
やっと、全部の雨戸を開け終えたら、休む間もなく、朝食の準備が待っていた。



「ほら、ね。」

手島さんが、視線で柱時計の時間を示す。



「……はい。」

朝食の準備が終わったのは、ちょうど8時だった。
そう、5:00に起きないと、間に合わなかった。
手島さんはそれをわかってて、私を5:00に起こしたんだ。



「おはよう。」

「おはようございます。」
「おはようございます。」



史郎さんが、席に着く。
本当に良いタイミングだ。
ちょっと悔しいけど、手島さんってすごいと思ってしまったよ。



「ねぇ、手島さん…またぬか漬け作ってよ。」

「承知いたしました。
早速、今日から取り掛かります。」

手島さんはとても機嫌の良い顔で微笑んだ。
史郎さんがそんなことを言い出すなんて、きっと手島さんのぬか漬けは相当美味しいんだろうね。
史郎さんがお漬物好きだなんて、知らなかったよ。