恋のキューピッドは怪獣でした!

仕事がひとつ増えてしまった…
でも、そんなに手間のかかる仕事じゃないから、ま、いっか。
仕方ないよね。



「……あんた、本当にろくな仕事してなかったのね。
うちの紹介所だったら、クビになるレベルだわ。」

台所に戻るなり、手島さんがプリンを食べる手を止めて、そんな嫌味を言う。
無視、無視。
こういうのは真に受けないに限る。
真に受けたら、本気で腹が立って来るもんね。



「あ、お風呂わかしてちょうだい。」

「お風呂ならさっき…」

「違うわよ。
私が入るお風呂!」



え?手島さんが入るお風呂を私にわかせって言ってるの?
どうして?
私は史郎さんには雇われてるけど、手島さんには雇われてないんだけど…



「私…ここの片付けがありますから。」

口実を設けてやんわりと断った。



「お風呂沸かすくらい、そんなに時間はかからないでしょ!
私はまだ足が良く動かないんだから、そのくらいやってよ。」



いやだな…手島さんがここに住むってことは、これからはお風呂も共有するってことだ。
今までは私専用のお風呂だったのに。
でも、足のことを言われたら、頑なに嫌だとは言えない。



「……わかりました。」

私は渋々、お風呂をわかしに行った。