恋のキューピッドは怪獣でした!

今回も手島さんは、自分のものと思しき買い物をしてて、それを私に支払わせる。
あまりにも自然なその態度に、なんかもう怒る気にもならなかった。
手島さんが買った分のレシートは別にして、ちゃんと家計簿に書いてやるから良いんだ!



買い物が終わったら、早速、手島さんの指示が始まった。



「あんた、包丁使うの下手ねぇ!」

「まぁ、そんなことも知らないの!?」

「だめじゃない!まだ早い!」



遣ることなすこと、文句を言われて気分は撃沈。
私のやってたことって、そんなにだめなことだらけだったの?
へこむんですけど…



「どれどれ…?」

手島さんが、お味噌汁の味見をする。



「うん、まぁまぁね。あんたも飲んでみなさい。」

「……はい。」



(あ……美味しいかも……)



ちゃんと、だしから作ったお味噌汁は、確かにいつもの味とは違った。
しめじを入れたせいだけじゃなさそうだ。
やっぱり、だしのせいでこんなに香りが引き立つんだ。



手島さんが料理がうまいっていうのは本当だった。
確かに、偉そうな口を利くだけのことはある。
なんだか少しだけ、手島さんに対する気持ちが変わったような気がした。