恋のキューピッドは怪獣でした!

「大丈夫だよ。俺はそんなに口は肥えてないから、これでも十分美味しいと思うよ。」

「またそんなお優しいことを…
でも、ご心配は無用です。
私、来週からこちらに戻ります。
いえ、まだお掃除などは出来ませんが、お料理をこの人に教えることは出来ますから。
私が指示した通りに作れば、これよりはずっとましなお食事が出来るはずです。」

「でも、まだ大変なんじゃない?
無理しないで良いんだよ。」

「いえ、こんなまずいものをご主人に食べさせることは出来ません。
来週から、復帰します!」

私も史郎さんも、手島さんの迫力に圧倒されて、ただぽかんとしてるだけで…



「手島さんの体調さえ良いのなら、じゃあ、そうして下さい。」



(えっ!?)



「はい、お任せ下さい!」

史郎さんは、何事もなかったかのように食事を再開した。



マジ…?
マジで来週から、手島さんに指図されるの??
私はものすごく微妙な心境だったけど…



でも、止まってるのも変だから、私も食事を再開した。
うん……けっこううまく出来てると思うよ。
間違ってもまずいなんてことはない。
史郎さんだって、今まで文句を言ったことなんて、一度もないもの。



手島さんは、相変わらず一口食べては嫌そうな顔をしてる。
そんなにいやなら、食べなきゃ良いのに。



いつもなら、史郎さんと他愛ない会話を交わすのに、手島さんがいるせいか、史郎さんは何も話さない。
私も何か話しにくくて黙ったままで…
まるでお通夜みたいに、三人とも押し黙ったまま。
……全く、なんてこった。