恋のキューピッドは怪獣でした!

「やっぱりもっと早くに出てくれば良かったな。」

「そ、そうですね…」

着いたのはデパートがオープンする15分程前。
なのに、デパートの前にはすでに20人程の行列が出来ていた。
見た目からして、その人たちはデパートに買い物に来た人ではなく、レギラのイベントを見に来た人たちだと思えた。
そのほとんどはややオタクっぽい男性だし、レギラのTシャツを着た人もいたから。



だけど、本当にレギラの熱狂的なファンっているんだね。
イベントに早く来たからって、特にメリットなんてないと思うんだけど、とにかく一刻も早く見たいってことなのかもしれないね。



「レギラ展にお越しの方は、こちらにお並び下さい。」

デパートの人が来て、列を移動させた。
やっぱり、この行列はレギラファンだったみたいだ。
女性は、私の他には一人だけ。
隣の男性と親し気にしゃべってるから、きっと、彼氏がレギラファンで、彼女は付き添いなんだろうね。
私と似たようなもんだね。
って、私は史郎さんの彼女さんではなく、ただの付き添いだけど。



「オープンしたら、とにかく俺から離れずに着いて来いよ。」

「は、はい。」

え?もしかして、私のことを心配してくれてるの?
人が多いから迷子にならないように?いや、もみくちゃにされないようにかな?
どちらにしても、優しいよね。



「それから、これ…」

史郎さんは、私の前に封筒を差し出した。