「結局、俺は最後まで謝ることも、感謝の言葉を伝えることも出来なかった。
心の中ではわかってたのに、本当は言いたかったのに、素直になれないまま、祖父母は逝ってしまった……」

史郎さんの瞳が揺れていた。
その想いが、どれほど深いものかは私にも容易にわかる。
胸が痛いよ。
励ましたいけど、なんて言えば良いのかもわからない。



「史郎さん…
すぐには無理かもしれませんが、私…いつかお義父さんに謝ります。」

ようやく出て来たのはそんな言葉だった。



「そうだな、それが良い。
手遅れにならないうちにな。」

「……はい。
あ、それから……私、なんだかレギラが好きになって来ました。」

「そうか、良かった…」

史郎さんは、いつもの無邪気な笑顔を浮かべた。



今までは、『嫌いじゃない』だけのレギラだったけど…
なんか、今日のことで、本当にちょっと好きになって来たよ。
レギラのおかげで、お義父さんとも仲良くなれそうだし。
それに、史郎さんのことが知られたのも、レギラのおかげだもの。



「……そろそろ、何か食べに行こうか。
腹が減ったんじゃないか?」

え?もうそんな時間?
言われてみれば、確かにお腹がすいてきたような気がするよ。



「は、はい!」