恋のキューピッドは怪獣でした!

「コーヒー淹れてくれる?」

台所に戻るなり、早速、手島さんにそう言われた。



「はい。」

私は素直にコーヒーを淹れた。
せっかくだから、自分の分も。



「手島さん、今朝は始発で来られたんですか?」

「そうだよ。そうじゃなきゃ、朝食に間に合わないだろ。」

「すみません。」

「今日はスーパーに行くよ。
いろいろと足りないものが出て来たからね。」

「はい、そうですね。」

他愛ない会話を交わしながら、私達はコーヒータイムを楽しんだ。



「あんた、家はここから近いのかい?」

「いえ、けっこう遠いです。」

「それで休みの日も帰らないのかい?」

「まぁ、そう……ですね。」

違うと言うのもなにか面倒な気がして、私は適当に話を合わせた。
今まで休日を取らなかったことも、当然言わない。
言ったら、またなんだかんだと言われそうだもの。



「昨日、御主人はでかけたのかい?」

「え?さ、さぁ…私も出掛けてたのでよくわからないですが…」

「そうかい。今日はなんかいつもと違ってるような気がしたからね。」

「違ってる…?何がですか?」

「なんというのか…どこかうきうきしてるっていうのか、機嫌が良いっていうのか…」

「え…?」

そうなんだろうか?
私にはいつもと同じに思えたけど…
でも、もしも手島さんの言ったことが本当だとしたら…



それって、昨日のお出かけが楽しかったからってこと??