恋のキューピッドは怪獣でした!

「今日は楽しかったか?」

「はい、とっても……」

帰りのタクシーの中でも、まだ興奮が冷めてなかった。
今日は本当に楽しかった。
この感動は、きっと一生忘れないね。



「そうか、良かった…」

その一言を聞いた時…私の心の中に、なんともいえない違和感のようなものが広がった。
なんだろう?
何か…何か大切なことを忘れてしまったみたいなこの気持ち…
いやだな、気持ち悪い…



でも、焦れば焦るほど、それが何なのかわからない。
ふと見ると、史郎さんは、のんきに眠っていた。
疲れたのかな?
私の方が年上だし、疲れてるはずなんだけど、まだ興奮状態なせいか、眠気なんて感じない。



車窓からの夜景もぼんやりと眺めていた時…



(……あっ!!)



その時、私は唐突にその違和感の原因に思い当たった。



「し、史郎さん!」

「え?なんだ?」

史郎さんはすぐに起きて、ちょっとびっくりしたような顔をしていた。



「レギラです!レギラのイベントは!?」

「……レギラのイベント?
レギラのイベントに行きたいのか?」

「そうじゃなくて!今日は、レギラのイベントがあったんじゃないんですか?」

「イベント?いや、そんなのがあったら絶対に行ってるけど…」

「え?じゃ、じゃあ…どうして今日はテーマパークに…?」

史郎さんは、私をみつめて小さく微笑んだ。